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世界的な物理学会であるAPS-March Meetingに参加し研究成果7件の発表を行いました

2023年3月5日~10日の5日間(バーチャルは3月20日~22日の3日間)、米国ネバダ州のラスベガスにおいて世界中の物理系研究者が参加するAPS(American Physical Society:米国物理学会)の3月例会が開催され、Quemixからは5名が参加し計7件の発表を行いました。



<Quemixの発表>

各発表の概要は以下の通りです。(①発表概要 ②反応)


1. Skyrmions in van der Waals centrosymmetric materials (Tran Ba Hung)

① 第一原理計算とモンテカルロシミュレーションにより、ファンデルワールス力中

心対称2次元物質において、従来のスキルミオンだけでなく、反強磁性スキルミオンメロンも観測しました。

② 特に、方法論にとても興味を持っていただき、今後の共同研究のために連絡を取り合ってくれる研究者も現れました。


2. Quantum Error Mitigation via Quantum-Noise-Effect Circuit Groups(濱 祐介)

① 量子計算誤りの源である量子雑音効果を表す量子回路の群、雑音効果量子回路群を用いた量子誤り低減法の構築とその有効性について発表しました。

② 聴衆からの反応は、疑問を呈するような質問もなく概ね好評で、”Great Talk”とのコメントも頂きました。


3. Improving success probability of imaginary-time evolution on a quantum computer (西 紘史)

① 量子化学計算の基底状態計算手法として提案された確率的虚時間発展法に対して、量子振幅増幅法を組合せることにより成功確率を増加させる量子回路を提案しました。

② 3件の質問が寄せられ、それぞれに対し詳細説明を行ったところ、発表内容に対する理解を深めて頂けました。


4. Imaginary-time evolution with a single ancilla: first-quantized eigensolver for electronic structure calculation in quantum chemistry (西谷 侑将)

① 確率的虚時間発展法の量子回路の構成法や、それに基づくFirst-quantum eigensolverの紹介など、一連の手法の基礎的な部分について発表しました。

② 全成功確率が指数関数的に減衰する問題点について質問があり、量子振幅増幅を利用することが解決策の一つだと回答し、ご理解を頂きました。


5. Geometric optimization based on first-quantized Hamiltonian using imaginary-time evolution on a quantum computer (松下 雄一郎)

① 確率的虚時間発展法を用いた網羅的構造最適化を発表しました。特に、原子核を古典的に扱うことによって、量子ビット数が少なく効率的に計算を実行できることを紹介しました。

② 計算システムと、計算に必要な量子ビット数の関係について質問があり、出来るだけ丁寧に回答しました。


6. Origin of spin reorientation in Nd2Fe14B permanent magnet (松下 雄一郎)

① Nd2Fe14B永久磁石のスピン再配向の期限を、Dzyaloshinskii-Moriya相互作用に由来することを報告しました。

② 今後のコラボレーションの可能性を求められ、名刺交換等を行いました。


7. Multiscale simulations toward magnetic loss and magnetic recording (Tran Ba Hung)

① 新しいマルチスケールシミュレーションスキームを提案し、磁気損失や磁気記録に対する精度を大幅に向上させた内容を発表しました。

② 多くの研究者がポスターを訪れ、我々の手法の精度の高さに驚かれていました。今後の共同研究の可能性追求のため、連絡先を交換しました。


全体を通して、各国研究者との活発な質疑応答、名刺交換に留まらない具体的ディスカッション、実験系研究者とのネットワークの構築などを行うことが出来、量子と言う注目度の高い分野で、我々が最前線の研究を行っていることを実感できました。


<所感>

APSでは非常に多くのセッションが設定されますが、その中にあって量子関連は常にどこかで発表が行われていました。今回、感じたことを幾つか挙げさせて頂きます。

  • 半導体量子ビット関連の発表に多くの聴衆が集まっていました。今後どのような方式でハードをつくって行くかにつき、実験と理論の両面から注目が集まっていることかと思います。

  • NISQとFTQCの中間的な位置づけのearly FTQCに向けた量子アルゴリズムに関心が高まっているように感じました。

  • (材料開発において)機械学習に基づく新高性能材料の発見に関心が高まっていますが、それには多大な計算資源と高精度のシミュレーションが必要であることが再確認されました。


企業のブースも多く、学術界だけでなく産業界の盛り上がりも感じられた学会でした。


<現地での様子>

     









































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