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An efficient quantum Hadamard product algorithm for functions
関数に対する効率的な量子アダマール積アルゴリズム
Xinchi Huang, Hirofumi Nishi, Tomofumi Zushi, Yu-ichiro Matsushita
本研究では、関数値を振幅として符号化した2つの量子状態について、その要素ごとの積に対応する量子アダマール積状態を効率的に準備する量子アルゴリズムを提案しています。従来のポストセレクションに基づく方法では、成功確率が格子数に反比例し、大きな格子ではクエリ回数が増加する課題がありました。本手法では、入力関数をフーリエ空間で扱い、アダマール積を畳み込み構造として捉えることで、局在したフーリエ係数を利用した近似回路を構成しています。これにより、計算量は格子数そのものではなく、関数の滑らかさやフーリエ係数の局在性に依存する形となります。特に、少なくとも一方の入力関数が有限個の非ゼロフーリエ係数を持つ場合には、格子数に依存しないクエリ複雑性で正確なアダマール積状態を準備できることを示しています。さらに、応用例として、部分内積を効率的に計算する新しい量子回路も提案しています。
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2026前半

End-to-End Molecular Dynamics with a Langevin Thermostat on Quantum Circuits
量子回路上のランジュバン・サーモスタットを用いたエンドツーエンド分子動力学
Masari Watanabe, Hirofumi Nishi, Taichi Kosugi, Shigekazu Hidaka, Ryo Sakurai, Yu-ichiro Matsushita
本研究では、有限温度における分子動力学(MD)を量子回路上で扱うため、ランジュバン・サーモスタットを用いた正準集団(NVT)での分子動力学計算フレームワークを構築しました。
本手法では、古典的な原子核の位相空間分布をKoopman–von Neumann(KvN)形式の波動関数として量子状態にエンコードし、ランジュバン型のFokker–Planck緩和として正準状態の準備を定式化します。量子回路上では、ハミルトニアンLiouville流、運動量摩擦、運動量拡散をそれぞれ独立した回路ブロックに分解し、摩擦項は運動量空間の対称化されたdilationとして、拡散項は確率的虚時間発展(PITE)に基づくcosine filterとして実装しました。
また、Gaussian拡散カーネルをPITEで実現されるcosine filterに置き換えることで生じる温度バイアスを解析し、目的とする物理温度の平衡分布を得るための内部温度補正を導入しました。これにより、量子回路上で正準分布に対応するKvN状態を準備し、その状態から分子動力学に関する物理量を読み出す一連の流れを示しています。
実証例として、水素分子(H2)を対象に、1量子ビットPauli Hamiltonianから得られるBorn–OppenheimerポテンシャルおよびHellmann–Feynman力をKvN核運動ダイナミクスに接続しました。数値シミュレーションでは、非平衡な位相空間分布が正準KvN状態へ緩和することを確認し、さらにその正準状態から、H–H伸縮振動に対応する振動状態密度(VDOS)の量子位相推定(QPE)による読み出しと、遷移状態理論(TST)に基づく反応速度定数の静的評価を行いました。本研究は、電子状態計算から有限温度の核運動、さらに分子動力学物性の読み出しまでをつなぐ、量子・古典ハイブリッド分子動力学に向けた具体的な回路レベルの手法を示す成果です。
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2026前半

Koopman–von Neumann Molecular Dynamics for Green–Kubo Transport Coefficients
Green–Kubo輸送係数のためのKoopman–von Neumann分子動力学
Masari Watanabe, Hirofumi Nishi, Taichi Kosugi, Shigekazu Hidaka, Ryo Sakurai, Yu-ichiro Matsushita
本研究では、古典分子動力学(MD)におけるGreen–Kubo輸送係数の計算を、Koopman–von Neumann(KvN)表現を用いて量子アルゴリズムにおける読み出し問題として定式化しました。
Green–Kubo関係では、拡散係数や粘性係数などの輸送係数を、平衡状態におけるフラックス相関関数の時間積分として評価します。本研究では、古典MDの時間発展をKvN表現によりヒルベルト空間上のユニタリ発展として扱い、NVE dynamicsおよびNosé–Hoover型NVT dynamicsの双方について、対応するKvN生成子と量子回路構成を導出しました。
さらに、フラックス励起状態を量子位相推定(QPE)に入力することで、QPEの補助レジスタが全ゼロ状態として測定される確率 P0 が、Bartlett窓付きのGreen–Kubo積分に対応することを示しました。これにより、輸送係数の評価を、時間相関関数を逐次的に積分する問題ではなく、QPEで定義される確率 P0 の推定問題として扱うことが可能になります。
数値ベンチマークでは、有限グリッド上での相関関数の離散化誤差がグリッド点数に対してべき的に減少することを確認しました。また、最大尤度振幅推定(MLAE)を用いることで、P0 の統計推定におけるクエリ数依存性が、直接サンプリングの Nqueries^-1/2 から Nqueries^-1 に近いスケーリングへ改善されることを示しました。本研究は、実用的な分子シミュレーションで必要となる輸送係数計算に、量子アルゴリズムの枠組みを接続するための具体的な一歩となる成果です。
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2026前半

Overcoming the Matrix-Product-State Encoding Barrier via DMRG-Guided Probabilistic Imaginary-Time Evolution
DMRGに基づく確率的虚時間発展による行列積状態エンコーディング障壁の克服
Masari Watanabe, Hirofumi Nishi, Taichi Kosugi, Shinji Tsuneyuki, Yu-ichiro Matsushita
本研究では、量子シミュレーションにおける基底状態準備の効率化に向けて、密度行列繰り込み群(DMRG)、行列積状態(MPS)エンコーディング、確率的虚時間発展(PITE)を組み合わせた3段階のハイブリッド手法を提案しました。
量子アルゴリズムでは、初期状態が真の基底状態にどの程度近いかが、後続計算の成功確率や測定回数、ポストセレクションのオーバーヘッドに大きく影響します。本研究では、まずDMRGにより得られたMPSを、最適化を伴わない行列積disentangler(MPD)エンコーディング回路を用いて量子レジスタへ読み込み、その後にPITEを用いて残留する励起状態成分を低減する枠組みを構築しました。
また、MPSエンコーディング中の中央結合Schmidtランクの成長がロジスティック曲線で表され、その変曲点 L* が効率的なエンコーディング領域の境界として機能することを示しました。L* を超えてエンコーディングのみで精度を高めようとすると、追加の回路深さが大きく増加するため、本手法では L* でエンコーディングを停止し、残りの誤差をPITEで抑制します。
数値実験では、スピン1/2のスタッガード磁場付きHeisenberg鎖を対象に、本手法の有効性を検証しました。その結果、DMRGに基づくMPS初期状態を用いることで、Néel積状態を初期状態とする場合に比べ、PITEにおける累積成功確率を高く維持でき、ポストセレクションを考慮した有効な回路コストを低減できることを確認しました。本研究は、古典的なテンソルネットワーク計算と非変分型量子射影アルゴリズムを接続する、実用的な基底状態準備手法を示す成果です。
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2026前半

Quantum algorithms for density functional theory with minimal readout
最小限の読み出しによる密度汎関数理論のための量子アルゴリズム
Yuansheng Zhao, Hirofumi Nishi, Taichi Kosugi, Satoshi Hirose, Hiroki Sakagami, Tatsuki Oikawa, Tatsuya Okayama, Yu-ichiro Matsushita
本研究では、量子コンピュータを用いた密度汎関数理論(DFT)計算において課題となる、電子密度の読み出しコストを最小化する量子アルゴリズムを提案しました。
Kohn–Sham DFTでは、占有軌道を求めた後に電子密度を構成し、自己無撞着場(SCF)計算を進める必要があります。しかし、量子コンピュータ上では測定により量子状態が崩壊するため、電子密度を読み出して再度Hamiltonianへ反映する処理が大きなボトルネックになります。本研究では、この問題に対して、Kohn–Sham軌道を効率よく表現する量子ビット効率の高いエンコーディング手法と、複数の占有軌道を同時に求める断熱実時間発展(ATE)に基づく量子アルゴリズムを構築しました。
さらに、非SCF型のDFT手法であるHarris functionalが量子計算と相性がよいことに着目しました。Harris functionalでは、全エネルギー評価に必要な二重計数補正項を既知の入力密度から古典的に評価できるため、量子状態から電子密度を読み出す必要がありません。これにより、量子コンピュータ上でバンドエネルギーを効率的に評価しつつ、電子密度読み出しを完全に回避できることを示しました。また、入力密度を変分的に調整することで、Harris functionalの精度を改善する方法も提案しています。
数値実証では、LiH分子に対するHarris functional計算、BCC Li金属に対するk点サンプリングおよびバンド構造計算を行い、従来の古典計算結果をよく再現できることを確認しました。さらに、複数コピーの波動関数を用いることで、電子密度を読み出さずにSCF計算を行う手法も提案し、LiH分子を例にその動作を検証しました。本研究は、量子コンピュータ上でDFT計算を高速化するうえで重要となる、読み出しボトルネックの低減に向けた具体的なアルゴリズムを示す成果です。
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2026前半

Channel-agnostic finite-temperature phase estimation averaged over variable grids: reconstruction of Green’s function for dynamical mean-field theory
可変グリッド平均化を用いたチャネル非依存の有限温度位相推定:動的平均場理論に向けたグリーン関数の再構成
Taichi Kosugi, Hirofumi Nishi, Keito Kasebayashi, Hiroki Takahashi, Yu-ichiro Matsushita
本研究では、強相関電子系を量子コンピュータで扱うため、動的平均場理論(DMFT)に量子位相推定(QPE)と可変グリッド平均化手法「QAVG(QPE averaged over variable grids)」を組み合わせた、量子・古典ハイブリッド計算スキームを提案しました。
DMFTは、強相関物質の電子状態を扱うための重要な計算手法ですが、従来の古典計算では、相関部分のグリーン関数を高精度に求めるための計算コストが課題となります。本研究では、有限温度における1粒子グリーン関数を対象に、測定ごとにどの励起チャネルが生じたかを特定しなくても、スペクトル振幅と励起エネルギーを抽出できる修正版QPE回路を構成しました。
さらに、QPE測定で得られるヒストグラムを用いて、試行パラメータを最適化しながらグリーン関数を再構成するQAVG手法を有限温度系へ拡張しました。これにより、QPEの有限なグリッド解像度に由来するバイアスを緩和しつつ、実際の励起チャネル数よりも少ないパラメータでグリーン関数を推定することが可能になります。
本研究では、代表的な強相関物質であるSrVO3を対象に、DFT+DMFT計算スキームへQAVGを組み込み、数値シミュレーションにより有効性を検証しました。その結果、QAVG-DMFTにより、FCI-DMFTで得られるスペクトルの全体的な特徴を再現できることを確認しました。本研究は、Early-FTQC時代における強相関電子系の第一原理計算に向けて、量子コンピュータをDMFTの不純物ソルバとして活用するための基盤となる成果です。
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2026前半

Error-corrected phase estimation averaged over variable grids on a trapped-ion quantum computer: hyperacuity spectra of a CO molecule adsorbed onto χ-Fe5C2
トラップイオン量子コンピュータにおける可変グリッド平均化を用いた誤り訂正付き位相推定:χ-Fe5C2に吸着したCO分子の超解像スペクトル
Taichi Kosugi, Hirofumi Nishi, Keito Kasebayashi, Hiroki Takahashi, Yu-ichiro Matsushita
本研究では、多電子系の励起スペクトルを取得する基盤技術である量子位相推定(QPE)について、現在の量子ハードウェアにおけるグリッド解像度の制約やノイズの影響を緩和するため、可変グリッドで平均化する手法「QAVG(QPE averaged over variable grids)」を提案しました。
QAVGでは、低解像度のQPEに複数のエネルギー原点シフトを組み合わせ、物理的に動機づけられた連続パラメータ化を用いることで、名目上のQPE解像度よりも高い精度でスペクトルを再構成します。本研究では、χ-Fe5C2表面に吸着したCO分子を対象とし、DFT計算から最大局在Wannier軌道を構成し、得られた有効模型を量子計算に接続する一連のワークフローに本手法を適用しました。
さらに、Quantinuum H2-2を用いて、物理QPE回路およびSteane符号に基づく論理QPE回路による実機実験を行いました。その結果、ノイズを含むヒストグラムを用いた場合でも、QAVGによりQPEの名目解像度より小さい偏差でスペクトルを再構成できることを示しました。また、シフトしたグリッドにわたる平均化によって、スペクトルリークに起因するコスト関数の局所最小が抑制され、パラメータ最適化が安定化することを確認しました。本研究は、Early-FTQC時代に向けた、相関電子系スペクトル計算の実用化に貢献する成果です。
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2026前半

Problem-Specific Basis Quantum State Readout via Proper Orthogonal Decomposition
固有直交分解を用いた問題特化型基底による量子状態読み出し
Kota Ichiki, Xinchi Huang, Gekko Budiutama, Masari Watanabe, Yoshifumi Kawada, Ryunosuke Terasawa, Hirofumi Nishi, Takayuki Suzuki, Ryutaro Nagai, Yu-ichiro Matsushita
本研究では、量子コンピュータを用いた偏微分方程式(PDE)ソルバにおいて課題となる、量子状態から古典的な解を再構成する「読み出し」の効率化に向けて、固有直交分解(POD)に基づく読み出し手法「PODR(proper orthogonal decomposition-based readout)」を提案しました。
PODRでは、事前に代表的なCFDシミュレーション結果から対象問題に固有のPOD基底を構成し、オンライン段階では量子状態をその基底に射影して、少数の重み係数のみを抽出します。これにより、物理パラメータや時刻を変えながら同種の解析を繰り返すCAE/CFDのような用途において、読み出しに必要な測定回数とオンライン段階の計算資源を削減できることを示しました。
さらに、2次元リッド駆動キャビティ流れおよび2次元カルマン渦列のベンチマーク問題に適用し、従来の実空間読み出し(RSR)やフーリエ空間読み出し(FSR)と比較して、少ないショット数でも高精度な流れ場の再構成が可能であることを確認しました。本研究は、量子コンピュータを用いた大規模なPDE解析やCAE/CFD応用における、読み出しボトルネックの緩和に貢献する成果です。
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2026前半

Quantum electrometry in a silicon carbide power device
シリコンカーバイド電力デバイスにおける量子電場計測
Yuichi Yamazaki, Akira Kiyoi, Naoyuki Kawabata, Yuki Watanabe, Ryosuke Akashi, Shunsuke Daimon, Nobumasa Miyawaki, Yu-ichiro Matsushita, Makoto Kohda, Takeshi Ohshima
本研究では、シリコンカーバイド(SiC)パワーデバイス内部の電場を高空間分解能で計測するため、SiC中のシリコン空孔(VSi)を量子センサーとして利用する手法を提案・実証しました。結晶c軸に平行・垂直な電場成分の両方に応答可能であり、実デバイス中において最大約2.3 MV/cmの高電場計測と電場分布のマッピングを達成しています。本手法は、SiCパワーデバイスの故障解析や設計最適化への応用が期待されます。
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2026前半

Logical quantum phase estimation for x-ray absorption spectra
論理QPEを用いた X線吸収スペクトル計算の実証
Hirofumi Nishi, Taichi Kosugi, Satoshi Hirose, Tatsuya Okayama, Yu-ichiro Matsushita
本論文では、論理量子位相推定(logical QPE)を用いて、X線吸収スペクトル(XAS)計算を初めて実装したことを報告しています。
FePO₄ の Fe L₂,₃ エッジを対象に、まず無雑音シミュレータ上で XAS を計算し、一様重ね合わせ状態、最適エンタングル状態、スレーター関数状態の 3 種類の入力を比較しました。Lorentzian ブロードニングにより、測定による統計誤差を抑制できることを確認しています。
次に、QPE をトラップイオン量子コンピュータ上で動的回路と [[k+2,k,2]] 量子誤り検出コード(QED)と組み合わせて実装し、補助ビット数を削減しつつハードウェアノイズを抑制し、理想的なスペクトルに近い結果を得ることに成功しました。
この成果は、材料科学における XAS 計算の量子利用に向けた重要な一歩であり、FTQC(誤り耐性量子コンピュータ)時代に向けた量子アルゴリズムの応用範囲を広げるものです。
2026/3/9 出版 Physical Review Applied誌
2025/5/13 投稿 ArXiv Demonstration of logical quantum phase estimation for X-ray absorption spectra
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2026前半

Approximate Amplitude Encoding with the Adaptive Interpolating Quantum Transform
適応補間量子変換(AIQT)による近似振幅エンコーディング
Gekko Budiutama, Shunsuke Daimon, Xinchi Huang, Hirofumi Nishi, Yu-ichiro Matsushita
本研究では、量子計算における振幅エンコーディングの効率化を目的として、Adaptive Interpolating Quantum Transform(AIQT)を用いた近似振幅エンコーディング手法を提案しました。
従来のフーリエ変換に基づく手法では固定基底を用いるため情報損失が生じる場合があります。本研究では、データに適応して基底を学習するAIQTを導入することで、少数の係数に情報を集中させることを可能にしました。
金融時系列データおよび画像データセットで評価を行い、同じスパース条件下で従来手法と比較して再構成誤差を最大約50%低減できることを示しました。
また、本手法は量子フーリエ変換に類似した回路構造を持つため、量子回路のゲート数を抑えたまま適用できる特徴があります。
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2026前半

Advancing N-type doping in semiconductors through hydrogen-defect interactions
水素–欠陥相互作用による半導体 N 型ドーピングの進展
Akira Kiyoi, Yusuke Nishiya, Yuichiro Matsushita & Takahide Umeda
本研究では、水素と結晶欠陥の相互作用が半導体における N 型ドーピ ングの活性化に果たす役割を、第一原理計算を用いて明らかにしました。一般に N 型ドーパントは導入後に不活性化しやすく、自由電子を十分に生成しないことが課題でした。本研究では、注入した水素が特定の欠陥と結合することで自由電子を安定的に生成し得ることを示し、その物理機構を解明しています。これにより、パワー半導体や電子材料におけるドーピング制御の新たな指針が与えられ、電子濃度制御や電力損失低減などへの応用が期待されます。
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2026前半

Towards Improved Quantum Machine Learning for Molecular Force Fields
分子力場生成のための当変性量子ニューラルネットワークの改良に向けた研究
Yannick Couzinié, Shunsuke Daimon, Hirofumi Nishi, Natsuki Ito, Yusuke Harazono, Yu-ichiro Matsushita
本研究は、日本ガイシ株式会社と当社の協働により、材料計算分野における量子コンピュータの実用化に向けて、機械学習ポテンシャルの検証を行ったものです。従来の機械学習ポテンシャルは高精度である一方、計算コストが高いという課題がありました。そこで本研究では、量子コンピュータを活用した新たなモデルの開発に取り組みました。特に、材料の対称性を自然に反映する「等変性QNN(Equivariant Quantum Neural Network)」を用いて、4種類の分子に対するエネルギーおよび原子間力の予測を実施し、従来モデルに比べて誤差や決定係数の面で改善を達成しました。最大12量子ビットという制約の中でも、古典的手法と比較して高い精度を示し、量子技術の可能性を示す重要な成果となりました。今後は、技術の改良やハイブリッド手法の導入により、より広範な材料設計への応用が期待されます。
2025/12/22 出版 Physical Review A
2025/5/6 投稿 ArXiv
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2025後半

Adaptive Interpolating Quantum Transform: A Quantum-Native Framework for Efficient Transform Learning
効率的な変換学習のための量子ネイティブフレームワーク「AIQT」
Gekko Budiutama, Shunsuke Daimon, Hirofumi Nishi, Ryui Kaneko, Tomi Ohtsuki, Yu‑ichiro Matsushita
従来、量子機械学習では回路の深さが増すにつれて学習すべきパラメータ数も増大し、勾配消失などにより訓練が困難になる問題が指摘されてきました。本研究では、複数の量子変換、例えばHadamard変換と量子フーリエ変換(QFT)の間を連続的に補間できるユニタリ演算を用いた、「AIQT(Adaptive Interpolating Quantum Transform)」を提案しています。これにより、ごく少数のパラメータで量子状態に対する高度な変換表現力を維持できる、量子ネイティブな変換学習手法を実現しました。
このアプローチは、先行研究であるGT(General Transform)の基本発想――「複数の変換を学習可能な重みで組み合わせ、入力やタスクに最適化された変換を導出する」――を量子回路上で実現したものです。GTが古典機械学習で示したデータ駆動型の変換適応という考え方を、量子処理へと応用する試みと位置づけられます。
2025/12/5 出版 Physical Review A
2025/8/20投稿 ArXiv
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2025後半

Real and Fourier space readout methods: Comparison of complexity and applications to CFD problems
実空間およびフーリエ空間読み出し法:計算量の比較とCFD問題への応用
Xinchi Huang, Hirofumi Nishi, Yoshifumi Kawada, Tomofumi Zushi, Yu-ichiro Matsushita
本論文では、量子コンピュータによる偏微分方程式(PDE)ソルバの実用化に向けて鍵となる「量子状態の読み出し」の問題に対し、実空間およびフーリエ空間における複数の読み出し法を体系的に比較しています。フーリエ空間読み出し(FSR)と、新たに提案した近似実空間読み出し(ARSR)は、連続実関数の再構成を目的とした場合に、従来の単純なサンプリングや量子振幅推定(QAE)ベースの手法と比べて、最も効率的かつ実用的であることが示されました。
さらに、これらの読み出し法を数値流体力学(CFD)のベンチマーク問題に適用し、大きな格子数の下でも従来のサンプリング法に対して大幅な性能向上が得られることを確認しています。加えて、効率的な読み出し法を組み合わせることで、2次元Burgers方程式を高価な線形化戦略を用いることなく解くことが可能であることを示し、中期的な量子デバイスにおける実問題での量子優位の可能性を具体的に示唆しています。

