Simulation
Software
Quloud-Magは、磁性材料開発・磁性デバイス開発の支援を行う材料シミュレーションソフトウェアです。これまで磁気 特性のシミュレーションは十分な精度が出せずにありましたが、弊社開発の手法によれば、実験値を用いることなく、第一原理計算により材料特性を推算し、効率的で網羅的な材料探索を可能にします。磁石材料、軟磁性体、磁性ナノ粒子、磁気熱量効果、スキルミオン等をはじめとする磁性材料の研究・開発に有用なツールとなっています。
Quloud-Magに関する解説記事はこちら
Power of Quloud-Mag
01
基底磁気秩序シミュレーション
02
有限温度における磁性状態シミュレーション
03
外部磁場下における磁性状態シミュレーション
04
ドーピング効果の解析
05
外場に対する磁化ダイナミクスシミュレーション
06
実験データと融合させることによる磁性特性シミュレーション
Function
Quloud-Magの機能について
化学組成比と構造の情報のみから、実験データの情報なしに磁性材料特性のシミュレーション(バルク物性・薄膜物性・マイクロ~ナノ粒子物性)を高精度に行います。実験値とシミュレーション融合させることにより、磁性材料特性の精度を上げたシミュレーションも可能です。
Strength of Quloud-Mag
Method
Quloud-Magの手法について
密度汎関数理論(DFT)に基づいて、原子構造から電子状態計算を実行。得られた電子状態計算結果から、ハイゼンベルグハミルトニアンを構築し、得られたハイゼンベルグハミルトニアンに対してモンテカルロ計算を実行。モンテカルロ計算の結果と、電子状態の計算結果を用いて、マイクロマグネティックシミュレーションを実行。
CASE
エントロピー変化の計算
(磁気熱量効果材料開発)
-
次世代冷媒方法として、近年、磁気熱量効果が注目を集めており、巨大な磁気熱量効果を示す磁性材料探索が活発
-
磁気熱量効果の大きさを知るのに重要な指標はエントロピー変化
-
エアコン用冷媒材料として、La-Fe-Si系が注目を集めており、室温付近でキュリー温度を持たせることのできるドーパントの探索が活発
CASE 01
背景
-
外部磁場等の条件を変えた時のエントロピー変化量を高精度にシミュレート
-
組成比とキュリー温度の関係を可視化
シミュレーション結果
特定のドーパントに関して、組成比を固定した際に、外部磁場と温度を変えた時のエントロピー変化量の実験値(左)とシミュレーション(右)
POINT
特定のドーパントに関して、組成比を変えた時のキュリー温度
POINT
論文:Acta Mater. 231, 117851 (2022); arXiv:2207.10408 (2022)
2次元層状物質MX3における
スキルミオン磁性相
-
スピンが渦巻き秩序を作るスキルミオン相は、空間反転対称性の破れた系においてのみ報告されてきた
-
これまで2次元物質におけるスキルミオン相の先行研究はなかったが今回初めて報告する
CASE 02
背景
-
2次元層状物質MX3の磁気感受率相図をシミュレーションにより再現
-
2次元層状物質MX3(X=Cl)において磁気秩序シミュレーションを行ったところ、局所的空間反転対称性の破れに伴い、ジャロシンスキー-守谷相互作用が有限であることを発見
シミュレーション結果
2次元層状物質MX3(X=Cl)における磁気感受率相図(左)
2次元層状物質MX3(X=Cl)における磁気モーメント相図(右)
POINT
ジャロシンスキー-守谷相互作用が、2次元層状物質MX3(X=Cl)においてスキルミオン相を実現している(赤色矢印が下向きスピン成分、青色矢印が上向きスピン成分を表す)
POINT
論文:arXiv:2209.02333 (2022).
磁性ナノ粒子の磁気特性
-
磁性ナノ粒子はメモリや医療応用など、様々な場面でその利活用が拡がっている
-
磁性ナノ粒子を実験値なしにシミュレートするソフトウェアはなかったが、今回初めて作成した
CASE 03
背景
-
量子サイズとキュリー温度の関係を高精度にシミュレート
-
磁性ナノ粒子と磁気モーメントの関係を可視化
-
ヒステリシスのシミュレーションが可能に
シミュレーション結果
キュリー温度の粒子サイズ依存性--実験とシミュレーションの比較
POINT
磁性ナノ粒子における磁気モーメントの空間分布のシミュレーション結果
POINT
磁性ナノ粒子におけるヒステリシスのシミュレーション
POINT
鉄の電気抵抗―シミュレーション結果と実験値の比較
POINT
鉄に振動磁場が入力された際の磁気応答のシミュレーション
POINT
鉄の複素透磁率のシミュレーション
POINT
磁気損失
-
省エネデバイス作成のためには、振動磁場が入力された際のエネルギー損失を知ることが重要
-
エネルギー損失は渦電流損失とヒステリシス損失の2つから構成される
CASE 04
背景
-
渦電流損失を計算する際に重要な要素である電気抵抗を高精度にシミュレート
-
磁気応答のシミュレーションからδtを推測
-
これまで困難であった複素透磁率のシミュレーションも可能に