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高精度材料計算プラットフォームにより、スキルミオンを示す新物質群を提案

 Quemixでは、高精度材料計算プラットフォームを構築しており、この度、その一環として磁石・磁性材料の計算手法を開発し、「スキルミオン」と呼ばれる渦状の磁気構造を示す新たな磁性材料群を発見し、論文を発表いたしました。

“Skyrmions in van der Waals centrosymmetric materials with Dzyaloshinskii–Moriya interactions ” Hung Ba Tran and Yu-ichiro Matsushita, arXiv:2209.02333 (2022).

 スキルミオンは粒子にように振る舞い、磁気記録デバイス等へ応用することで“超”省電力型の情報処理を可能にすると期待され、近年、精力的な研究が行われています。既にいくつかの磁性材料において実験的に発見されていますが、今回、我々はありふれた元素からなる積層2次元物質群中においてスキルミオンが出現することを初めて理論計算から提案しました。

スキルミオン出現に際しては、Dzyaloshinskii-Moriya(ジャロシンスキー-守谷)相互作用が重要な要素であることが知られていますが、これまでDzyaloshinskii-Moriya相互作用が働くには結晶構造の空間反転対称性の破れが必要であると考えられてきました。一方、今回我々が見出した積層2次元物質群は、空間反転対称性を有しているにもかかわらずスキルミオンが出現しており、詳細な解析を行った所、局所的な空間反転対称性の破れが存在し、それによってスキルミオンが出現していることが判りました。空間反転対称性を有する結晶中のスキルミオンには、ヘリシティと呼ばれる磁気の渦巻きの巻き方に右巻き・左巻きという制御可能な自由度が存在し、この自由度を用いてデジタルの0・1に対応させることにより、スキルミオン量子ビットを作り出せる可能性があります。発見した積層2次元物質群はこの可能性を追求するに非常に役立つ材料となります。

 積層2次元構造は加工がしやすく、高い構造の自由度を有しています。今回発見した積層2次元物質群は、単相でも積層構造3次元結晶でもスキルミオンが出現することを示しており、次世代磁気メモリへの応用やスキルミオン量子ビットなどの量子デバイスをはじめとする幅広い応用が期待されます。


 Quemixは、様々な材料計算手法を提供することにより材料開発をサポートしています。高精度磁性材料計算プラットフォームへのお問合せは こちら("https://www.quemix.com/contact " )から。




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